コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第17章 苦杯
「私たちみたいに、植民地の時代に生まれた者たちは、生まれた時から、スペインから来た人たちにひどく蔑まれ、質素な生活どころか、あまりに惨めな暮らしの連続で、挙句は強制労働で家族の命まで奪われる者も後を絶たず…、それでも、そういうものなのかって、皆、いえ、私も、どこかで諦めておりました。


でも、私、あの神殿で、偶然、初めてトゥパク・アマル様をお見かけしたあの時、本当にインカの皇帝様が生き返ったのかと思ったんです!!

トゥパク・アマル様は、とても光り輝いて見えて、力に溢れていて、神々しくて、ああ、インカの皇帝様って、こんなふうだったんだって思いました!


それで、…それから、あのビラコチャの神殿でお見かけしてほどなく、アンドレス様のお屋敷で、トゥパク・アマル様をまたお見かけした時にも、インカの人々の――私たちの祖先の魂の輝きを、お二人の中にそのまま見る思いがして、本来の私たちを取り戻したいって、本気で思うようになりました。


そのためなら、私も、精一杯に頑張れるって、戦えるって思えたのです!

きっと、そんなふうに思っているのは、私だけではないはずです。
義勇兵たちは、皆、いえ、きっと兵として参戦していない国中の者たちだって、私のように末端の農民たちまでも、皆!!


このクスコ戦でも、トゥパク・アマル様は敵の褐色兵を討たなかったけれど、あの中には、私たち農民たちの…極貧の者ほど、その親類縁者や知人たちが、少なからずいたはずです。

今日の戦乱のさなかに、敵方の中にかつて知人であった者、親族であった者を実際に見出して愕然とした兵たちもいたと聞きます。


この本隊の義勇兵たちの中には、そのことを仲間同士で責める者もおりますから、末端の農民兵たちは皆、殊に貧しい隅々にいる者ほど沈黙しておりますけれど、その心の内では、たとえ今は敵方に回されようとも、どんな一人一人をもトゥパク・アマル様がお見捨てにならなかったことを、どれほど深く感謝し、心の中で手を合わせておりますことか…!!
332
最初 前へ 329330331332333334335 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ