コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第17章 苦杯
コイユールは、自分の意識を、高く、高く、上げていった。

頭上に射し込んでくる光の源を追い求めるように、その射し込む光を逆に辿りながら上へ上へと進んでいく。


光の筋は上空の雲を越え、地球の成層圏を越え、やがて宇宙空間に飛び出して、遥かな宇宙の果てまでも続いているかのようだった。


ふと見下ろすと、蒼く瑠璃色に輝く宝石のような地球が見える。



その美しさに恍惚と見入る彼女の意識はいっそう高く昇り、眼下の地球もたちまち遠く吸い込まれるように小さくなって、やがて宇宙空間に霞んで見えなくなる。


コイユールは、さらに光の源を追って、宇宙のずっと果ての方まで己の意識を飛ばしていった。


やがて、宇宙の遥か果ての彼方に、眩い巨大な塊のような光の源が見えてくる。

美しく、気高く、黄金色に輝くその光は、まるでインカのシンボル、太陽神の化身のようにさえ見える。


コイユールはその太陽のような光源の前で、深く跪き、祈りを送った。

(トゥパク・アマル様をお救いください。
トゥパク・アマル様の痛みを和らげてください。
トゥパク・アマル様に、たくさんの光をお与えください!
十分な光を、トゥパク・アマル様のもとに送ってください!!)


燦然たる光は、決して眩しすぎも、熱すぎもせず、ただ煌々と崇高な輝きを放っている。

コイユールは、己の意識を光源の前に飛ばし続けたまま、神々しい光の前でひたすら祈った。




一方、トゥパク・アマルの天幕では、従軍医が黙々と治療を進めていた。

トゥパク・アマルも、固く瞼を閉じたまま手術の進行に身を委ねている。


時折、「うっ…」と呻くことはあれども、一切、悲痛な声を上げることもなく、じっと従軍医の施術に耐えていた。


だが、額に浮かぶ多量の発汗や閉じた瞼の震えから、表には出さずとも、実際には彼がどれほどの激しい痛みを感じているか、観察力の鋭い従軍医にはありありと推察できた。
326
最初 前へ 323324325326327328329 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ