コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第3章 邂逅
「クスコの神学校では優秀な成績をおさめているとフェリパに聞いたぞ。
頑張っているな。
実際、いっぱしの若者になってきた」

男は再び満足気に少年を眺めた。
その眼差しには、親が子を見るような、そんな温かさと厳しさの両方が宿っている。


「だが、おまえもそろそろいい年頃だ。
あんなスペインかぶれの学校だけでは、本物のインカの若者には足りない」

「はい、叔父上!」

アンドレスも、その意味をよく察して素直に頷いた。


「明日の晩、久々にこの屋敷に皆で集まろうと思う。
お前も顔を出せ」

「是非にも!!」

アンドレスは、間髪入れず、待っていたとばかりに溌剌と答えた。
その声には、凛とした力がこもっている。



大男は笑みを返して、椅子から立ち上がった。

「邪魔したな!
許せ」


それから、コイユールの方にも軽く片手を上げて、ドアを閉めるのにも頓着せず立ち去った。




男が出て行ったのを確認して、アンドレスはドアを閉めた。

「驚かせて、ごめん。
今のは俺の叔父上で、つまり、母上の兄なんだ。
この近くに住んでいて、父上が亡くなってからは父親がわりみたいに俺や母上の面倒を見てくれている」

「そうだったの」

コイユールは納得した。

「それで…明日、何かあるのね」



アンドレスは少し間を置いてから、短く答えた。

「時々、親族が集まっていろいろと話しをするのさ」

「親戚の人たちの集まりなの?」

「まあ、そんなもんかな」

そう答えるアンドレスの横顔はやや紅潮しており、興奮と緊張の色が見える。




それ以上、彼が何も言いそうにないのを確かめてから、コイユールは窓の外に目をやって、すっかり薄暗くなっているのに気がついた。

「いけない、そろそろ帰らないと」

「送っていくよ」

「ううん、いいの。
私なら大丈夫だから」

彼女は首を振って、アンドレスを制した。



だが、アンドレスはコイユールに付き添って、薄暗くなった帰路を共にした。


「大丈夫なのに…」
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