コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第15章 使者
アンドレスは憤怒の感情を滲ませながら、さらに続ける。

「だから、今度の戦さも、どんな卑怯な手段を使おうとも、意地でも勝とうとするはずだ。
そうとも…どんなに民衆の命が失われようとも……!!
トゥパク・アマル様も、それを悟っているからこそ、あの司祭を、直接、敵に回す戦闘は避けたかったに違いあるまいよ。

それに、これまでインカ軍に味方していたこの国生まれのスペイン人たちも、司祭がトゥパク・アマル様や俺たちをキリスト教から破門して以来、すっかりあの司祭に恐れをなしている。
だから、今、クスコで、司祭を敵に回して戦うとなれば、彼らの心が俺たちインカ側からもっと離れてしまうとも、ご心配されているのだと思う。

だけど、トゥパク・アマル様は、ちゃんと反乱を起こす前にも、悪政の改善を訴えて司祭に会いに行っているんだ。
もちろん、司祭は、そんな訴えなど微塵も聞き届けはしなかったが。

そんな司祭の難しさは、トゥパク・アマル様なら、重々承知しているはずだ。
だから、今回も、恐らく、結果がこうなることは予測していたに違いあるまいよ。

それでも、できることは全てなさろうというのが、昔からの、あのお方のなさり方なのだ」


ロレンソは、アンドレスの言葉にじっと耳を傾けながら、目を細めて深く頷く。

他方、マルセラは、アンドレスの言葉に、やっと光を与えられたように顔を上げた。


そんなマルセラに頷き返しながら、声の調子を和らげてアンドレスが続ける。

「それに、あの司祭が、君をこうして全く無傷で戻してくれたなんて、そのことが、俺には、むしろ凄いことだと思えるよ!
きっと、トゥパク・アマル様のお心が、何か、必ず伝わった部分があったに違いないさ。

君だからこそ、それができたんだと思う。
マルセラ、そう思ったらいい。
君は立派に役目を果たしたんだ!!」
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