コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第15章 使者
果たして、マルセラはクスコの城門にて、「トゥパク・アマルの使者」の来訪に驚愕したスペイン人の衛兵たちによって、一旦、差し止められた。

しかし、クスコの戦時委員会の面々は、モスコーソ司祭への「使者」の接見を許諾したのであった。




真に恐慌状態にあったクスコのスペイン側は、現状の打開策を求めて、もはや藁にもすがる思いであった。

そのような中、トゥパク・アマルの言い分は、ともかくも一聞に値するものと判断したのであった。



クスコの戦時委員会の面々たちといえば、首府リマの高官たちに準ずる、錚々たるスペイン人名士や有力者たちばかりである。

トゥパク・アマルの一連の動向への戦慄と憤怒で青黒い顔色になっている彼らが雁首を揃える堅固な接見の間へと、マルセラは引き出されていった。


さらに、そこには、この国のカトリック教会の頂点に立つ司祭、かのモスコーソがいた。

まさか、このような雲上の大人物に接する日が来ようなどとは、文字通り想像すらしたことのなかったマルセラの心臓は、止めようにも止められぬ速さで打ち始める。


厳かな雰囲気の接見の間の壇上で、モスコーソ司祭は、マルセラを睥睨しながら、大きく反り返っている。

そんな司祭の前に敷かれた真紅の絨毯の上に、マルセラは深々と頭を垂れ、跪いた。


どれほど覚悟を決めて来たとは言え、憎悪に満ちた敵方の射竦めるような無数の眼光に晒され、彼女の手足は堪えきれずに震えだす。

だが、それを悟られぬよう、表面上は、必死に、最大限に、気丈に振舞った。

――そう、自分は、あのインカ皇帝トゥパク・アマルの代理として来ているのだ、しっかりするのだ、マルセラ!!
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