コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第15章 使者
そんなロレンソの惑いには気付きようもないマルセラは、懐に大切に持参したトゥパク・アマルの書状の感触をその手でしっかりと確かめ、もう一度だけ、ロレンソと彼の兵たちを見渡して一礼した後、「では!」と馬を駆りかけた。


「お待ちを!!」

ロレンソの鋭い声に、マルセラは驚いたように振り返る。


「これを…」と、ロレンソがその鍛えられた褐色の右腕を、真っ直ぐにマルセラの方に差し出した。

マルセラは、その腕とロレンソの顔を交互に見渡し、困惑と驚きの混ざったような複雑な表情のまま、差し出された腕の先にある彼の拳の前に自分の手を出してみる。


彼女の手の平に、ロレンソは美しい薔薇色の石を乗せた。

マルセラが、いっそう驚いた瞳で、直系3~4センチ程のその艶やかな石を見つめる。

青年のような趣向のマルセラには、当然のように石の知識など無く、見たことも、名も、全く知らぬ石である。


それは、このインカの地、アンデス山脈原産のインカローズの石であった。




「マルセラ殿、そなたが存じているか分からぬが、これは『インカの真珠』…インカ時代から、特別な力があるとされてきた石です。

この石は、我々の意識を、宇宙や大地の力と結び合わせ、さらに高みへと導いてくれる力があると古くから言い伝えられています。

これは、わたしが戦さの時、常に身につけてきたもの。
必ずや、そなたを守護してくれるであろう。

どうか、それを持っておゆきなさい」


「でも…!
そんな大事なものを…!!」

戸惑うマルセラに、「さあ、どうか」と、ロレンソは、まだ石を呆然と手の平に乗せているマルセラの指に己の両手を添えて、その石をしっかりと握らせた。
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