コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第14章 忍び寄る魔
「フランシスコ殿…!」

「頼む…アンドレス…!!」

「……」


ついにアンドレスは、観念したように頷いた。

「分かりました…。
俺の胸の内にしまいましょう」


フランシスコは大きく息をつくと、深い安堵の表情になった。

そして、また声をたてずに意味ありげに笑う。

「そなたは、本当に、いい子だね…アンドレス」


息を詰めて身を固めるアンドレスの方に、フランシスコが、その痩せた片腕をゆっくりと伸ばす。

それから、不意に、細く長い指でアンドレスの頬を包み、まるで愛撫するようにその手を動かすと、そのまま指先でアンドレスの唇に触れた。


「……!!」

「トゥパク・アマル様の寵愛を受けている秘密兵器が、そなたなのだよ、アンドレス。
だが、まだ、あまりに若い――いや、青い、と言うべきか」




アンドレスは、はじかれたように後方に飛び退った。

そして、もはや完全に言葉を失ったまま目を白黒させ、殆ど無意識的に一礼すると、逃れるようにその場を離れた。


走りながら、その天幕を出る。

(何だったんだ、今のは?!)



彼は、あまりに酷い悪夢を見た後のような激しい不穏な念に憑かれ、自分の天幕に急ぎ足で引き返した。

「ああ…!
今日は、いろいろなことがありすぎた…!!」


アンドレスは、完全に混乱した額を強く押さえ込んだまま、己の天幕の中に、まるで見えざる何者かから逃れ去るように駆け込んだ。
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