コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第14章 忍び寄る魔
アンドレスは自分の天幕に戻る前に、フランシスコの天幕に立ち寄った。

原因不明の高熱と呼吸困難に苦しんでいるその様子が、とても案じられた。


先刻、フランシスコの病状を尋ねたアンドレスに叔父のディエゴは、「精神的なショック状態らしい」と、怪訝(けげん)そうな表情で答えていた。

あの勇猛果敢な猛将ディエゴには、激しい戦闘場面の体験によって精神的に参ってしまうなどとは、全く想像すらつかぬ次元のことに違いなかった。


しかし、アンドレスは、たまたま己の場合は身体症状には表れていないだけで、その精神的な衝撃は同様であり、フランシスコの心境がとても良く分かる気がした。



アンドレスが訪れると、フランシスコは、天幕の周囲をトゥパク・アマルの精兵たちに護られながら、一人、天幕奥で身を横たえていた。

まだ大量の油汗を滲ませ、呼吸も不規則ではあったが、意識は戻っているようだ。


アンドレスがそっと近づくと、フランシスコもそちらに顔を向けた。

ひょろりとして普段から神経質そうでさえある繊細な面持ちが、今宵はいつにも増して弱々しく悲痛に見える。




アンドレスはそんなフランシスコの表情にいっそうの悲愴感を覚えながら、深く頭を下げて礼を払った。

フランシスコも力無く、瞳で頷き返す。


「フランシスコ殿、お加減はいかがですか?」

アンドレスが、真摯な声音で尋ねる。


「アンドレス…このような見苦しいところを見せて、情けなく思うよ」

そう言ってフランシスコは皮相な笑みを微かに浮かべ、「戦闘のショックによるものだなどと…」と、苦しげに言う。
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