コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第3章 邂逅
(そうか…!)

コイユールは、はたと思い至った。

フェリパ夫人はコイユールとアンドレスの仲の良いことをよく知っていたので、彼が休暇でクスコから戻てっくる今日、わざわざ自分を館に呼んでくれたのだろう。
夫人の優しさを感じ、コイユールの胸は温かい気持ちに満たされた。


「入ろう。
母上が、君の例の治療を待っているんだろう」

アンドレスは、そっとコイユールを館の門の中に促した。




大理石でできた玄関先では、薄紫色の西洋ドレスに身を包んだ美しいフェリパ夫人が、待ちかねたように二人を迎え入れた。

「アンドレス、お帰りなさい。
コイユール、よく来てくれましたね」

「ただいま、母上」


腕を広げた夫人の胸の中に素直に抱かれて、少年は母親の喜びに応えた。
夫人の瞳に微かに涙が光っている。

彼女にしてみれば、愛息子を「学校」という名目でスペイン人によって人質にとられているようなものであろう。
息子の無事な姿に、どれほど安堵しているか想像は難くなかった。


コイユールは、そんな二人をまぶそうにみつめた。

母親の腕に抱かれたのは、もう何年も昔のことだ。
そして、これからもそんな日は戻ってこないだろう。



「さあ、コイユール、中に入ろう」

アンドレスはゆっくりと母親の腕から離れ、コイユールを広間の方へ導いた。


コイユールは、だんだん自分がいることが申し訳ない心境になっていた。
せっかくの親子みずいらずの再会なのだ。

「でも…」

「コイユール、さあ、入ってちょうだい」

「あの、私、いいんでしょうか…」

「もちろんよ。
あなたに来てほしくて、呼んだのですから」


夫人の上品で優しい笑顔に促され、コイユールはおずおずと豪奢な広間の中へと入っていく。
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