コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第3章 邂逅
さらに、混血児は、いっそう複雑な立場にあった。
彼らは、スペインの征服以来、スペイン人の男性とインカ族の女性との間に生まれた者たちである。

「不義の子」とされた彼らは、それでも、人口からいえばクリオーリョよりも多いほどだった。
だが、白人の社会にも、インカ族の世界にも入りこめないため、多くは商人や行商人となったり、役所や僧院の端役などにつくのがせいぜいであった。


それから、黒人たちだが、彼らはもともと奴隷として、アフリカから新大陸まで白人によって連れてこられてきた者たちである。
この物語でも触れていくことになるが、彼らのおかれた状況は、インカ族の者たちよりもさらに過酷なものであった。



そして、最後に忘れてはならないのが、インカ族である。

インカ帝国の民の末裔である彼らは、この時代、様々な環境に暮らしていた。
町に出て白人の召使いや下級労働者、職人になった者、行商人の下働きをする者などもあった。

とはいえ、その大部分は、インカ族の領主(カシーケ)のもと、コイユールたちのように細々と農業を営んでいたのだった。




さて、そろそろ物語をもとに戻そう。


コイユールが、そんな様々な人種の往来する路地を進んでいくと、ほどなくフェリパ夫人の館が見えてきた。
館は、ちょうど教会のすぐ傍にあった。


スペイン風の立派な2階建ての広々とした洋館で、白亜の壁に美しいオレンジ色の煉瓦屋根が映えている。
大きな窓は初夏の花々にふちどられ、庭は使用人によって良く手入れされ、刈り取られたばかりの草の匂いが漂っている。


館の前に立ちながら、コイユールはその見事な建物を見上げた。
華やかな洋館に少女らしいときめきを覚えながらも、複雑な心境が湧き上がってくる。

自分たちの生活とはあまりにも隔絶した世界、そして、本来この地にあるべきものではないという違和感。
あるいは、憤りにも似た感情が微かに動く。


しかし、それを振り払うようにして彼女は門の方に進みかけた。

と、その時、背後で張りのある明るい声がした。


「コイユール!!」
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