コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
そのまま天幕をそっと抜け出し、先ほど片付けを済ませたばかりの炊き出し場に向かう。

時々、インカ軍の警備兵が松明を片手に巡回しているぐらいで、辺りはすっかり静まり返っている。


彼女は炊き出し場の一隅に積まれているジャガイモの方へ向かい、それらを大きなカゴに入るだけ入れた。

どのみち、近いうちにしておかねばならぬ作業なのだ。


それは、この地域の保存食「チューニョ」をつくるために、ジャガイモを野ざらしにし、霜で凍結させる作業である。

実際、晩春の、まだ気温の低い夜のうちにやらねばならぬことだった。
どうせなら、眠れぬ今、やってしまおう。

幸い、今夜は冷え込みも厳しいし、作業にはうってつけの夜だった。


コイユールはカゴいっぱいに積み上げたジャガイモを炊事場から運び出すと、天幕が張り巡らされている界隈から離れ、訓練場の端の方にある空き地に向かった。





空き地の入り口付近で警護に当たる険しい目つきのインカ兵が、鋭い声でコイユールを呼び止めた。

「こんな夜中にどこに行く」


コイユールは重そうなジャガイモのカゴを抱えたまま、兵の方に頭を下げた。

「チューニョをつくるために、空き地の隅にジャガイモを野ざらしに行くだけです。
すぐに戻ります」


兵は、コイユールとジャガイモとを見交わして、「こんな夜中にせずとも」と訝しげな目をしてはいたが、「では、すぐに戻ってくるように」と、通してくれた。

コイユールは、もう一度頭を下げて、そこを通り抜けた。
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