コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
(本当に、こんなに近くにいるのに、どうして一度も会いに来てくれないのだろう。
でも、今や連隊長として重責を担っている身なのだし、それどころではないはずだわ。

だけど、一言くらい…あっても…。
ううん、まさか連隊長ともあろう者が、一義勇兵に会いに来るなんて、他の人の目もあるのだから!

でも…人目につかずに、ちょっと声をかけるくらいできそうなものなのに…。
いえいえ、こんな大事な時に、私なんかに構っていられるはずはないでしょう!

それとも…私のことなんか、もしかして、本当に忘れてしまったの……?)


コイユールの中で、二人の自分が矢継ぎ早に声を上げる。



いつの間にかすっかり下を向いてしまったコイユールに味方するように、マルセラは大きく溜息をついた。

「アンドレス様も、せめて一言あんたに何かあってもいいだろうに。
意外と冷たいお人なんだね。
ちょっと見損なったな」

そう乾いた声で言って、全く本心から眉をひそめた。





その晩、コイユールは、先刻のマルセラとのやり取りにずっと心を占められたまま過ごしていた。


すっかり夜も更け、そろそろ多くの兵は天幕の中で就寝に入る頃である。
コイユールも、天幕の中でその身を横たえていた。

しかし、とても眠れる気分ではないし、静かに横たわっていると、かえって余計なことばかり考えてしまいそうだった。


今が、インカ軍にとって、いかに緊迫した状況下にあるのかを理性ではよく認識していた。

今は、心を一つに、インカの民の復権のために、心を一つに、そのことだけに心を集中しなければならないはずだ。

それなのに、今の自分の心は、一体、どこを向いてしまっているのだろう…!!




コイユールは横たわっていた身を、素早く起こした。
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