コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
ところで、トゥパク・アマルの館に構えたトゥンガスカの本陣では、彼の妻ミカエラ・バスティーダスが、大いに才を発揮し、活躍していた。

類稀なる美貌の持ち主でありながら、実に雄々しいこのミカエラは、いよいよ戦乱の世へと突入したこの時期、その才覚はいっそう目覚め、輝きを放っていた。


もちろんトゥパク・アマルとの間に生まれた三人の息子たちを養育する心優しき母として、また、堅実なる妻としての側面をも併せ持つ彼女ではあったが、今、この乱世の渦中にあっては、まさしく本陣を離れている夫の代理、あるいは最も有能な参謀のごとくであった。

彼女は、各地に散らばるインカ軍へ夫の指令を伝え、時には夫に忌憚無い意見を進言し、また、占拠地の通行許可証の発行を取り仕切った。




反乱の火の手が続々と上がる中、聖都クスコにも、また首府リマにも、スペイン側に反乱幕開けの情報が未だに知られずにいたこと、さらには、やがて反乱勃発の事実をスペイン側が知ってしまった後でさえ、スペイン側は、いつまでも反乱の実情をはっきりとは掴めなかったこと、それは、このミカエラの力によるところが大であった。


彼女は、決して秘密の漏洩の無きよう、万全を期した。

反乱軍の押さえた地域の中は、彼女の発行する通行許可証を持たねば通行することができなかったのだ。



さらに、ミカエラは、夫トゥパク・アマルが前線で戦っている間、この背後の本陣にて、インカ軍本隊をはじめ、各地の軍への武器や食糧の補給にも采配を振るった。

彼女は、パン、コカ、酒などの食糧の他にも、衣服、銃弾、望遠鏡など、軍が必要とするものは何でも揃え、補給した。


本陣の中枢での彼女の鮮やかな活躍ぶりは、インカ軍を、そして、夫トゥパク・アマルを、背後から紛れもなく強力に支えていたのである。
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