コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
こうして、逃亡したキスピカンチ郡の代官カブレラをフランシスコが追い、分遣隊を率いたディエゴが出陣した後、まもなくトゥパク・アマルらインカ軍本隊はそのままキキハナを首府とするキスピカンチ郡に進軍して当地を占拠した。

恐れをなした代官が遁走してしまったその地は、まともな戦闘らしきものも起こりえぬまま、あっさりとインカ軍の統治下に落ちた。


かのティンタ郡の広場での演説と同じように、新たな占拠地でのトゥパク・アマルの高らかな呼びかけに深い感銘を受けた当キスピカンチ郡のインカ族の者たちや、当地生まれの白人、混血児、そして、黒人たちが、その日、新たにインカ軍に馳せ参じ、軍団はほぼ倍の人数に増強された。

スペイン人によって当地に保有されていた武器類もインカ軍は手に入れ、その中には数十梃の小銃も含まれていた。



さらに、時を逸せず、そのままインカ軍は、キスピカンチ郡近郊にあるポマカンチ郡とパラパッチュ郡にある織物工場(オブラヘ)へと向かった。

これらの織物工場は、かの鉱山での悪名高い強制労働(ミタ)と等しく、スペイン人たち制圧者が、永年に渡り、言語を絶する過酷な強制労働をインカ族の者たちに強いてきた場所である。


そこはまさしく恐るべき牢獄に等しく、疲労と栄養不良と不衛生のために、無数のインカ族の者たちが、釈放を待たずにここで命を落としていたのだった。

従って、この地を解放することは、トゥパク・アマルのかねてからの念願でもあった。


今や、大軍を前にして織物工場はあっさりと明け渡されたが、歴史上の資料によれば、トゥパク・アマルは、当地の労働者たちに生産物を分配したのはもちろんのこと、恨んでも恨みきれぬはずのこの織物工場を仕切っていたスペイン人の身内の者たちにさえ、去り際に羊毛3.5トン、染料2袋を与えている。



なお、これら占拠した各地には、よく訓練された専門兵の中から統率力に優れた者を司令官として選任し、屯軍として残し、各地の統治に当たらせた。
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