コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
それから、再び、周囲で訓練に励む義勇兵たちの姿を見渡す。

一縷の迷いも無いように、決然とした表情で棍棒を振り切るジェロニモ、そして、その他の兵たちの姿がコイユールの瞳の中に、はっきりと映る。


そんな彼らの姿を見つめる彼女の心は、さらに落ち着かなくなっていく。

次の瞬間、何か、自分の足が地から浮き上がっているような不穏な感覚に襲われ、慌てて足の裏に力を入れた。
敢えて力を込めて、大地を踏み締めてみる。


そして、何かを振っ切るようにして、きっ、鋭く前方を見据えた。

それから、意を決したように、恐らく外見的には滑稽なほどに不釣合いなその厳つい武器との格闘を再開した。






そんな義勇兵たちのまだ危なっかしい訓練風景を、遥かに高台の上からアンドレスは息詰めて見下ろしていた。


晩春の空は霞みがかってはいたが、それでも美しい月に照らされて、眼下の様子は夜でも良く見渡せた。

穏やかな涼風が吹き、夜露に濡れた瑞々しい若草の香りが漂っている。


彼の目は、真っ直ぐビルカパサの連隊の方に向けられていた。

意識せずとも、コイユールの姿を探してしまう。



そして、今や、彼は、しっかりとその懐かしい姿を見つけ出していた。
182
最初 前へ 179180181182183184185 次へ 最後
ページへ 
TOP