コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
「アンドレス様、すぐに慣れますよ」


ビルカパサの言葉にアンドレスは笑顔で頷き、丁寧に礼を述べる。

「ビルカパサ殿とて、ご自分の隊のことがあおりなのに、すっかり世話になってしまった。
かたじけなく思います」


そんなアンドレスに、ビルカパサは恭しく礼を払う。

「当然のことです。
それに、私のところには、手助けをしてくれる者もありますので」


そう言って僅かに肩をすくめてから、少し向こうに陣を張っている自分の連隊の方にちらりと視線を投げた。
連られるように、アンドレスもそちらの方に目を向ける。



二人の視線の先に、テキパキと兵たちに指示を出しながら闊達に活動している一人の女性の姿がある。

「出すぎたところも多いのですが、意外とよく働いてくれています」と、ビルカパサは再び軽く肩をすくめ、笑顔をつくった。


アンドレスはその女性が、にわかには誰かと分からず、だが、確かに見覚えがあるような気がして、じっと見つめた。


ビルカパサは、そんな彼の様子に少々苦笑しながら、説明する。

「昔からお転婆で困っていた、私の姪っ子です。
あのマルセラですよ」


アンドレスも、はたと合点のいった表情になる。
そして、やや驚いたふうに、ビルカパサとマルセラを見比べるように交互に見渡した。


確かに、言われてみれば、その女性はマルセラに違いなかった。

男勝りで少年のような風貌だったあのマルセラが、3年程会わぬ間に、すっかり美しく大人びているその姿には、さすがのアンドレスも目を疑った。



そんな彼の視線に気付いたのか、ふとマルセラがこちらを振り返る。

アンドレスが己の方を見ていることに気付いた彼女は、サッと頬を染めた。
が、もちろん、遠目からなので、そんな彼女の様子にアンドレスは気付くことはなかったが。



アンドレスは、思わず懐かしさから笑顔で右手を挙げて、挨拶の合図を送った。

マルセラは完全に仕事の手が止まったまま、彼の姿に釘づけられたように見入っていたが、やがて意を決したようにこちらの方に歩み来る。


アンドレスも、懐かしさをかくせぬ眼差しで、近づいてくるマルセラの方に真っ直ぐ向き直った。
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