コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
ところで、キスピカンチ郡は隣接郡といえども、アンデスの山々を越えながらの進軍は、そう容易なものではない。

その日の晩は野営をし、翌朝のキキハナ到着を目指すことになっていた。




南半球の11月は晩春とはいえ、アンデス高地の夜の冷え込みは厳しい。

この季節、この地では、まだ時に雪に見舞われることさえあるのだ。



インカ軍幹部たちにとって、兵に加わった人々が慣れない環境の中でも安全に休息が取れるよう、寝所の確保や食糧面の補給など、手配しなければならぬことは多かった。


トゥパク・アマルの指示のもと、各連隊の長たちは、兵たちの野営が滞りなく進むよう手配に忙しく動いていた。

特に、戦さなど無縁だった義勇兵たちへの目配りは、細やかになされなければならない。



とはいえ、経験が無いのは、かのアンドレスも同様で、ビルカパサが細かな点まで丁寧に彼に助言を行っていた。


今やアンドレスも一人の長として、配下の兵を――哨戒に立つ者、天幕を張る者、炊き出しをする者などを――適切な指示によって統率し、迅速に動かしていかねばならぬ立場である。

そんな彼の仕事が一段落する頃には、月もすっかり高くなっていた。



「ふう…」

白く光る月を見上げながら小さく一息ついたアンドレスの傍で、ビルカパサが温かい眼差しを送っていた。
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