コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
「やっぱり来てくれたのね。
あんたなら、来ると思ってた!」

マルセラは、馬上から、まるで青年のような闊達な笑顔を向けた。


彼女は銀糸の刺繍が施された緋色の衣装に身を包み、逞しい黒馬を軽々と乗りこなしている。

髪はインカ族の女性には珍しい相変わらずの短髪だが、平素の無造作なターバンではなく、光沢のある真紅の絹のバンダナで優雅に巻き上げていた。



機動性を増すために丈を短くした衣装からは、あのカモシカのような美しい褐色の脚線美が見えている。

一見、男勝りな雰囲気でありながらも、内側から放たれる中性的な美しさをもつマルセラの風貌が、今日はこれまでにも増して眩しく輝いて見えた。



コイユールは、思わず感嘆の声を漏らす。

「マルセラ!
とっても、よく似合ってるわ」


そんな彼女の隣で二人を見交わしながら、黒人青年ジェロニモが「知り合いなの?」と驚いたような顔をしている。

コイユールは彼に笑顔で頷き、そして、改めて、眩しそうにマルセラの勇姿を見上げた。


こうして高貴な衣装を身に纏い、優美に振舞うと、まさしく押しも押されぬインカ貴族としての風格がある。

その上、さすがに、あのトゥパク・アマルの側近中の側近ビルカパサの姪だけあって、ただの貴族では終わらぬ、群を抜いた毅然とした輝きを強く放っているのだった。



「もうっ、そんなに見ないでよ!」

マルセラが、頬を紅潮させる。


「それより、コイユール、どこの連隊に入る?」と、手綱を俊敏に引きながら、少しまじめな顔になってマルセラが問う。


「連隊って?」

我に返って戸惑う頼りなげなコイユールの表情に、マルセラは頷き、「あんたのことだから、なんにも分かっていないと思うけど」と、いつもの調子で説明を始める。
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