コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
黒人青年は、今しがたの出来事の経緯については何も言わなかったが、恐らく、先ほどの男の家で酷使されていたところを脱走し、今回の義勇兵に加わろうとの魂胆なのだろう、とコイユールは察した。



かたや、青年は走りながら、相手が手ぶらなのをいぶかしげに見た。

「君は、何も武器を持ってこなかったの?」


そう言われて、コイユールは、初めて武器を持参すべきだったのだということに気付く。

ハッとして「あっ!」と小さく声を上げる彼女の方に、今度は冗談めかした目をして、「素手で戦おうなんて、勇敢なお嬢さんだ」と青年が笑う。


一方、コイユールは「武器を持ってくるなんて、私、全然、思い当たらなかった…!」と、自分で自分に驚き呆れたように呟いた。
青年の手には、当然のように、いかにも打撃力のありそうな斧が握られている。

彼は少し真顔になってから、「俺たち、義勇兵として参戦するんだよ。君、わかってる?」と、彼もまた、半ば呆れたような半ば心配そうな表情で相手の顔を覗く。


本当に私ったら大丈夫かしら…と、コイユールは自分が無性に頼りなく思えてくる。

ふっと彼女の表情が曇ったのを見て、青年は、「まあ、何とかなるって!大丈夫、大丈夫!」と明るく言ってから、「さっきみたいに睨みをきかせれば、スペイン兵も逃げ出すって!ははは…!!」と面白そうに笑った。

励ましているのか、からかっているのか分からぬ素振りの青年に、コイユールは戸惑い、返す言葉を無くす。





他方、青年は、あっけらかんとした調子で、「急がないと!俺は、ジェロニモ。よろしく」と、いっそう早足になりながら、もうすっかり意識は前方に向いている。
しかも、その足は、やたらと速い。


コイユールは戸惑いを抱えたまま、「私は、コイユール。よろしくお願いします」と、ひとまず応え、青年の俊足に追いつこうと夢中で走った。
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