コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
『おばあちゃん、本当にいいの?!行っても、いいの?!』と、尋ね返しそうになる自分をぐっと抑えて、コイユールはその言葉を呑み込んだ。


そんなふうに聞いたら、祖母はまた気持ちをこらえて、大丈夫と言うだけだと分かっていた。

それに、そんなふうに尋ねてしまったら、祖母に決断を委ねるのに等しいことになってしまう。


これは、自分自身が、決断すべき問題なのだ――!!



コイユールは、涙を浮かべながらも、意を決した瞳で祖母を見つめた。

私は皇帝様と一緒に行きますと、彼女の目に浮んだ決意の色に、老婆も真摯な面差しで頷いた。


コイユールの瞳から、涙が一筋、頬を伝う。

「おばあちゃん、本当に…どうもありがとう」

今回のことも、そして、今まで育ててくれたことも…――。

コイユールは、涙の溢れる瞳で深く礼を払った。


祖母も目を細め、優しくコイユールの髪を撫でたまま幾度も頷く。




霞んだ視界の中で、いつの間にか、とても真剣な表情に変わっている祖母は、揺れるような瞳でじっとコイユールを見つめた。

「命だけは、大事にね、コイユール」


コイユールは深く頷いた。

「おばあちゃんも…」


祖母も深く頷いた。

いつの間にか、老婆の目からも涙が伝う。



また必ず戻っておいでとも、また必ず帰ってくるとも、二人は言葉にすることはできなかった。


もう二度と会えないかもしれない……!

コイユールも祖母も、この時、心の奥で、そっと覚悟を決めたのだった。

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