コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
アンドレスが返す言葉を探しているうちに、今度は、背後から明るい子どもたちの声が響く。


「アンドレス!
アンドレス!!」

振り返ると、トゥパク・アマルの子どもたちが瞳を輝かせながら、やっとつかまえたとばかりに、自分の方に駆け寄ってくるところだった。


トゥパク・アマルには、先に登場した末子のフェルナンドのほか、長男のイポーリト、次男のマリアノがいる。
それぞれ、現在、イポーリトが12歳、マリアノが10歳、そして、フェルナンドが8歳になったばかりである。

三人共、トゥパク・アマル似の、流れるような黒髪と澄んだ美しい切れ長の目をした、凛々しくも、天使のように愛らしい少年たちだった。



たちまち、まだ幼いフェルナンドは何の躊躇もなく弾丸のように飛んできて、アンドレスの足に巻きつくと、ニコニコした笑顔でまっすぐに見上げてくる。

すぐにイポーリトとマリアノも彼を囲むようにして、「ねえ、アンドレス、お願いがあるのだけど」と、まだあどけなさの残る、はにかむような輝く瞳を向けてくる。


アンドレスは、ドアの方に進みかけていた足を止めるしかなかった。

ビルカパサが、静かな眼差しで見守っている。




アンドレスは少年たちの目の高さに跪き、「願いとは、何ですか?」と、いつもの優しい眼差しで三人を交互に見渡した。


イポーリトが瞳できちんと礼を払い、「アンドレスがもっている、あのサーベルを見せてほしいのだけれど」と、長男らしく三人を代表して、トゥパク・アマルそっくりの美しいケチュア語で話す。

残りの二人も頷きながら、強い期待感を込めた眼差しを一心に向けてくる。



アンドレスは戸外の方に思いを残しながらも、しっかりと三人の少年たちに囲まれて観念したように頷く。


「わかりました。おいでください」と、広間の一隅の壁に大切そうに立て掛けていたサーベルの方に三人をいざなった。
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