コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第12章 進軍
明日、進軍と…、明朝、結集と、言っていた!

そう、この日が来るのをずっと待っていたのかもしれない。
アンドレスに出会い、そして、トゥパク・アマル様に出会った時から。

きっと、もう何年も前に、あのビラコチャの神殿で、偶然にもトゥパク・アマル様を垣間見たあの日から――!



既に辺りは宵闇に包まれ、晩春の涼風が吹きぬけていく。

風の揺らす新緑の草木が、ざわめく音がする。
長大なコルディエラ山脈に囲まれた空には、次第に初夏の星座が瞬きはじめる。

そして、それを見上げる彼女の瞳にも、煌く星々がくっきりと映し出されていた。




しかし、ただ一つ、コイユールをトゥパク・アマルらの軍に加わることを思い留まらせるものがあった。

それは、祖母のことだった。


ただでさえ最近はめっきり老けこみ弱ってきている祖母を、これからますます政情不安に陥りそうな当地に一人残していくことは、非常に心配なことであった。

これまで親代わりとなり自分を育ててきてくれた祖母に、言葉では言い尽くせぬ深い恩を感じてもいた。


それに、多くの人々が参戦するために集落を離れれば、農地を耕す者も減ってしまうだろう。
残った女性や年寄りで、この地を守っていかねばならないのだ。

それはそれで、戦闘に加わることにも等しい難儀なことに相違ない。


コイユールは、どのような気持ちで、どのような顔で、祖母の待つ小屋に戻ったらよいのか決められず、まだ農道の端に立ち尽くしたままでいた。

吹き抜ける夜風の冷たさが増している。



冷え切った体を腕で抱くようにしながら、心の中で無意識のうちに呼びかける。

(アンドレス!
私、どうしたらいい…?)
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