コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第2章 ビラコチャの神殿
「ねえ、お婆ちゃん。
昔のインカ帝国の皇帝様って、今はもう、いないのよね…?」

独り言をつぶやくようにそう言って、コイユールはぼんやりと宙を見つめた。


老婆はそんな孫娘の様子には頓着せぬままに、皿の上に残ったチュウニョの粒をすりつぶした。

「そうさね。
ずいぶん昔に、殺されちまったからね」


すりつぶしたチュウニョを口に押し込んでいる祖母の横顔に目をやった時、コイユールは、幼い日に幾度も聞かせてらった祖母の昔語りをふと思い出した。

彼女がまだ幼い頃、老婆はよく彼女を膝に抱きながら、昔語りをしてくれたのだった。





『昔、この国には、黄金や銀や様々な宝石が、たっぷりあった。

そして、皇帝様や貴族たちは、黄金の耳飾をつけて、色とりどりの美しい刺繍のほどこされた服をまとい、宝石のきらめく飾り帯をしめていた。

クスコにある太陽神殿、コイユールも聞いたことがあるだろう?

あの神殿の壁には黄金がはられ、庭には、砂のかわりに黄金の粒がまかれていた。

そして、その砂の上には黄金のトウモロコシが生えていて、本物の大きさをした黄金製のリャマが楽しそうに遊んでいたのさ』


幼いコイユールは、瞳を大きく輝かせた。

『おばあちゃん、それって、いつのこと?』

『今から、200年くらい前までは、この国はそんな様子だったのさ』

『でも、今とは全然違うわ』

『黄金の国の噂は、海のずっとむこうのヨーロッパっていうところまで伝わった。
それで、その黄金の国を手に入れたいという奴らが船に乗ってやってきた。

奴らは、インカの皇帝様やこの国の人々をだまし、皇帝様を捕えて殺しちまった。
そうして、この国をすべて自分たちのものにしちまったのさ』



そこまで話すとたいてい老婆は口をつぐみ、心に何かを押し込めたような目になって、ただ黙ってコイユールの頭をいつまでも撫でていたものだった。
16
最初 前へ 13141516171819 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ