コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第10章 反乱前夜
トゥパク・アマルがいよいよ反乱の決行を定めたとき、アパサの元にいるアンドレスもまた、仕上げの時期に入っていた。


彼が当地に来て、既に2年の月日が流れていた。

今や、アンドレスは18歳。
どこから見ても、押しも押されぬ若武者としての風貌を備えている。




今、彼は師を前に、研ぎ澄まされた横顔で、いつもの棍棒をサーベルのごとくに構えていた。
アパサも獣のごとく獰猛な面持ちで、棍棒を手に、アンドレスを睨(ね)めつけている。


アンドレスは深く吸い込んだ息を腹部に落とし込み、丹田に己の気を集める。

そして、その気を相手に悟られぬよう、至極自然に手首から棍棒に乗せていく。
アパサの目の中で、アンドレスの持つ武器の先端から、回転する渦のような気がジワジワと発せられていく。


次の瞬間、アパサはアンドレスの鈍器に激しく突き込まれた――かのような強い錯覚に襲われ、とっさに背後に飛びすさった。

が、実際には、アンドレスはその場を微動だにしてはいない。
ただ、彼の棍棒の先から強い気が発せられ、それが武器の動きに見えたのだ。



アパサは苦笑した。

また互いに間合いを保ちながら、睨み合う。
もはや、どちらにも一縷の隙も無い。


次に仕掛けたのは、アパサの方だった。
アンドレスの急所めがけて電撃のような雷(いかずち)を連打し、獰猛な野獣さながらに襲いかかる。


だが、アンドレスは敏捷に身をこなし、まるで宙を舞うかのごとくフワリとかわすと、再びアパサの正面にスッと身構えた。
それは、あたかも舞の名手が舞うかのごとく、匂い立つような優美で華麗な動きだった。

背筋を伸ばし、武器の先端まで神経を研ぎ澄ませる。
そして、再び武器の先から輻射される澱みない気。



アパサは目を細め、ゆっくり武器を下ろした。
アンドレスも相手の動きに合わせて、武器を下ろす。


「今日、トゥパク・アマルの使者が来た」

アパサは、低い声で言った。
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