コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第10章 反乱前夜
その瞬間、アレッチェは、不覚にも固唾を呑んだ。

このインディオは危険だと――かつて初めてトゥパク・アマルと対面した時、明確に直観した。
しかも、今、目前にいるそれと同じインディオには、あの時以上の異様な凄みが宿っている。


アレッチェの目は、それが何かを探るように、釘付けられた。
敢えて言葉にすれば、それは、狂気――ではないのか?!

アレッチェは、そのような己の想念を振り払うようにして、再びトゥパク・アマルを見た。



一方、トゥパク・アマルは相手の執拗な視線を避けるように、「王陛下の御言葉は承りました。それでは」と低く言い、踵を返した。


「待て!」

すかさず、アレッチェが呼び止める。

トゥパク・アマルは、振り向かずに、ただ足を止めた。


「マキャベリズムの創始者の言葉を知っているかね?」

どこから湧いてきたのか分からぬアレッチェの不意な発言だったが、もはやトゥパク・アマルは一切の感情を殺したように、重い沈黙を守っている。


「彼は、被征服地の支配を確実なものにするためには、その国を支配していた王族の血統を抹殺することが肝要だと述べている。
四等身に至るまで絶滅すべき、とね」


相変わらずトゥパク・アマルは微動だにせず、聞いているのかいないのか、ただ、そこに後ろ姿のまま立っている。



西日はすっかり傾き、部屋は早くも薄闇に包まれていた。
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