コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第9章 若き剣士
夏の炎天下の日差しの中での特訓は、特にきつかった。

高地で空気も薄いためか紫外線もやたらと強く感じられ、正午すぎの光は、まるで全身に突き刺さってくるかのようである。


この季節のこの時間帯は、アパサは商用を都合よく理由にして、決して現われない。
その代わり、アンドレスには、この時とばかりハードな訓練メニューを言い渡していく。

アパサにしてみれば、適当に手を抜くことも覚えろぐらいの感覚だったろうが、アンドレスは健気(けなげ)にも、というか、手を抜くなど思いも及ばず、普通に見たら意地悪とも思えるほどのハードなメニューをきっちりとこなしていた。





だが、さすがにこの日の日照りは尋常ではなかった。

素振り3000本の最中に眩暈(めまい)を感じ、思わず手元が狂い、右手で振った棍棒で自らの左腕を打ってしまった。


慌てて左腕を確認する。
幸い傷は浅いものの、意外と出血が多い。
とりあえず、止血して応急処置をしておかねば。

彼は急いで自室に戻った。



部屋の中は、明るい夏の午後の光に溢れている。

このような昼間の時間帯に自室に戻ってくるなど、この屋敷に来てから数ヶ月も経つのに、全く初めてのことだった。
アンドレスは珍しそうに見慣れぬ真昼の自室を眺めながら、左腕の血をしっかり拭くために急いで上衣を脱いだ。




その時だった。

ドアの方でバサバサと何かが落ちる音と共に、人の気配を感じた。
彼は素早くそちらを振り向く。


そこには、ドアを開けかけたまま、固まったように立ちすくんでいるアンヘリーナの姿があった。
床の上には、色とりどりの夏の野の花が、撒かれたように散らばっている。
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