コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第9章 若き剣士
真っ青な顔をしているアパサの妻の方に顔を上げたアンドレスの表情は、むしろ落ち着いたものだった。

「拭き方は、こんな感じでいいですか?」

逆に質問されて、バルトリーナは言葉も失って、「はぁ」と気の抜けた声を漏らす。


「ご案じなきよう。
アパサ殿のお考えなれば、きっと意味のあることなのです」

放心しているバルトリーナにそう言って笑みを返すと、アンドレスは再び、その生まれてはじめての雑巾がけに意識を集中させた。



『よおく、雑巾は絞って拭くんだぞ!』

アパサの言葉通り、彼は念入りに雑巾を絞った。
絞りながら、考える。

何か意味があるはず――そうアンドレスは信じようとしていた。
というか、そうでも思わねばやっていられなかったのだ。


自分のプライドのギリギリのところをアパサは非常に巧みに刺激してくる、そのことも彼は既に察知していた。

呑まれてなるものか!!

ギュウウッと水を含んだ雑巾を両手で力強く絞る。
指の間から、汚れを含んだ水が、ザーッと勢いよく流れ落ちていった。




彼が広い屋敷の雑巾がけを一通り終わった頃、アパサは見計らっていたかのように目の前に現れた。
そして、美しく磨き上げられた床を見渡しながら、「よしよし、綺麗になったな」と、意外にも満足そうに頷いた。

「よく絞って拭いたか?」

「はい」

アンドレスはしっかりと返事をする。

アパサは「よし」と言ってから、「明日は、今日の倍の力を込めて、今日の倍の回数、雑巾を絞って拭け」と付け加えた。

アンドレスは、もはやその理由などは聞かず、「はい」と、ただ返事を返した。
答えは、自分でみつけるものなのだ。



それから、アパサは、恐らく本当に仕事が忙しいはずだったが、商用の客人のいない隙を見て、アンドレスを昨日と同じ裏手の空き地に連れていった。
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