コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第9章 若き剣士
アンドレスは、やっと立て直そうとしている気持ちをまた突き崩そうとしている目の前の男に、険しい眼差しを向けた。

「アパサ殿。
俺は、武人としての技量を身につける覚悟でここに参りました。
まだ何もしていないうちに、逃げ帰る気はありません!!」

それは、まるで自分自身に言い聞かせ、叱咤するかのごとく口調でもあった。


かたやアパサは、おどけたように両手を上げて、降参のポーズをとって見せる。

そして、「まあ、そう堅苦しく考えるな」と、ニンマリ笑う。

「おまえ、そのクソ真面目なところは、トゥパク・アマルにそっくりだな」

アンドレスは、アパサがトゥパク・アマルを呼び捨てにしたことに、怒りというより、唖然として、それから、「クソ真面目…?そっくり…?」と小さく反芻する。



アパサは、そんなアンドレスの様子にクククと面白そうに笑って、また酒をあおり、そのままカップを勢いよくテーブルに置いた。

そして、今度は自分が真面目な顔になってアンドレスの目を見据えた。
アンドレスも襟を正し、アパサの目を挑むように見返す。

それから、アパサの心の奥まで貫くかのごとく真剣な瞳で言った。

「アパサ殿。
どうか今後もご指導をよろしくお願いいたします!!」


アパサは相手の瞳を見据えたまま、微かにその目元を細めた。

「どんなことでもするか?」

おもむろにアパサが言う。
その声は、今までの皮相で茶化したものとは少々おもむきが違っている。

「はい。
どのようなことでも!!」

アンドレスは、きっぱりと答えた。
そこには、上辺だけではない、決意の色がはっきりと表れている。


アパサはカップを握り、チチャ酒をすすった。

「おまえをどうするか、決めるのは俺だ。
俺は、見込みの無いヤツの面倒を見てやるほどヒマじゃない。
おまえの出来次第で、いつでもお帰りいただく。
そのことを忘れるな」

相変わらずの冷淡な口調ではあったが、それでも、その返事は、とりあえずはアンドレスを受け入れる内容には違いなかった。


「ありがとうございます!!」

アンドレスは身を乗り出して大きく礼を払うと、アパサの前で初めて笑顔を見せた。




その笑顔には、周囲の空気を一変させてしまう、あの湧き立つ華やかさがあった。
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