コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
アフィリエイトOK
発行者:風とケーナ
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第9章 若き剣士
が、アパサは、まるでスローモーションのように、ゆっくりと剣先を軽くかわすと、アンドレスの右手首をぐいと捕らえ、左手でサーベルの柄をトンッと叩いた。

すると、そのままアンドレスの手から、あっさりとサーベルが地にこぼれ落ちた。





辺りは水を打ったように静まり返った。

既に、茜色の空は、夜の群青色に変わりつつある。
一陣の渇いた冷風が、二人の間を吹きぬけていく。


激しく肩で息をしながら呆然と地に落ちたサーベルを見下ろすアンドレスの額からは、玉のように汗が流れ落ちていた。

対するアパサは、いっこうに息も上がっておらず、汗一つかいてはいない。



アンドレスは混乱した頭で、アパサを見やった。
そのアパサは、非情なまでに冷徹な面持ちで、アンドレスを見下ろしている。

「スペイン人の神学校では、剣さばきの一つもまともに教えられてはいなかったようだな。
それもそうだろう。
スペイン人にしてみりゃ、インカの皇族に剣の技など覚えられては、己の首を絞めることになるだろうからな」

そう言って、鼻で笑った。


アンドレスの耳がカッと紅潮する。

そのアパサの言葉は、彼の腕がいかにひどいものであるかを露骨に皮肉ったものだった。
だが、冷静に考えれば、アパサの言葉にも、実際、一理あった。


しかし、常に類いまれな優秀さと言われ続け、学業面でも運動面でも、何事においてもトップを走ってきたアンドレスにとって、このような屈辱は、全くもって初めての体験だった。
半ば理性を失って、彼は血走った眼でアパサを睨んだ。


アパサは面白そうに、「ほお、やるなら相手になるぞ!」と、両手をバンバンッと叩いてわざとらしく挑発してくる。


「言わせておけば!!」

さすがのアンドレスも己の中で何かがブチ切れるのを抑え切れず、ついに素手のまま相手に襲いかかった。
彼に押し倒される形で、アパサはそのまま勢いよく仰向けに地にひっくり返る。
101
最初 前へ 9899100101102103104 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ