コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~
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発行者:風とケーナ
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ジャンル:ファンタジー

公開開始日:2010/06/20
最終更新日:2012/01/07 14:20

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コンドルの系譜 ~インカの魂の物語~ 第1章 プロローグ
むしろ、アリアガの疑念は、別のところにあった。

それは、首府リマにいる巡察官アレッチェの、トゥパク・アマルに対する不可解なほどの警戒心だった。



アリアガはいつものように訝し気に顎をさする。


このところ、アレッチェから頻繁に書状が届き、その中で、トゥパク・アマルの行動の監視を決して怠るなと、繰り返し言ってきていたのだった。

万一にでも秘密裏に武器を蓄えるようなことなどなきよう、トゥパク・アマルの邸宅その他の関連施設は、予告ない家宅捜索により厳重な監視を行うよう、執拗に命令されていた。
そして、特に、決して自らを『インカ(皇帝)』であると名乗らせてはならぬ、としつこいほど言い渡されていた。



実際、高官アレッチェの命に従い、アリアガはトゥパク・アマルの行動を監視し、武器の点検も怠りはしなかった。
しかしながら、この代官は、アレッチェほどの危機感をもっては、それらを行ってはいなかった。


(確かに、トゥパク・アマルはインディオどもからの人気も高く、実に鼻につく生意気な奴ではあるが…)

アリアガは、独りごちた。

「アレッチェ様は、なぜトゥパク・アマルごときに、あそこまで警戒の目を光らせろと言うのだろうか。
インカ皇帝の血筋とはいえ、今となっては、たかがインディオのカシーケの一人にすぎぬのに」




巡察官アレッチェのようにはトゥパク・アマルという人物を見抜けなかったこと、そのことが、アリアガにとって、遠からぬ将来、自らの命取りにまで発展しようとは――今はまだ、この強欲な代官には知る由もなかった。
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