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成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/04/06
最終更新日:2012/09/23 23:16

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spring 第1章 first contact
「‥、いっぱい頼んだね」


風呂から上がった彼はテーブルの上を見て、ちょっと呆れた声を出した。


「お腹、減ってるみたいだったから。
ステーキで良かった?」


テーブルの上には彼の為のステーキのセットと、モッツァレラチーズや生ハムのサラダなんかの前菜と、自分用のパスタが並んでいた。



「ありがとう」



意外にも素直に礼を言って、彼は食事を始めた。

フォークとナイフで食事する様子は、どこか品がある。



「名前は?」


「‥‥‥」


彼は食事の手を止めて、大きな目で不機嫌そうに睨む。

関係ないだろ、といいたげだ。



「本名じゃなくていいんだけど。
名前、わからないと不便だろう?」


「‥ハル。アンタは?」


ハル、
可愛い名前だ。
直感で本名だと、何故か思った。




「さくらだよ」


だから、自分も本名を答えていた。



「桜木さん?」


「名前がさくらだよ」



「‥随分可愛い名前」



「本名、だよ?」



「別に何でもいいんだけど。
ご飯、美味しいし」



ハルは細身の体に次々、肉やら野菜やらを詰め込んでいく。本当に腹が減っていたんだろう。


「家出?」


「そうだよ。春休みだから」


また睨まれるかと思えば、あっさり肯定さた。


「ニュースでもやってたけど。
何で春休みになると家出するんだ?」


「逃げたしたくなっちゃうんじゃない?閉塞的で不安ばっかの家庭から」


「何が不安なの?」


「情けない父親や、ヒステリックな母親、痴呆の始まった婆さんとか?」


ハルは小首を傾げながら、そんな事を言う。



「そうなの?」


「さぁ、知らないけど」


いったい誰の話をしているのやら、ちょっと笑った。
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