spring
spring
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/04/06
最終更新日:2012/09/23 23:16

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
spring 第2章 searching,

‥、なんて思った次の日にはもう、ハルに会いたかった。 また、あんな繁華街の路上に立っていたらと思うと落ち着かない。


「せーんぱい、どうしたんですか暗い顔して」


うなだれながらパソコン操作をしていた俺の隣に、伊坂が座った。出来のいい後輩だが、いつまで経っても先輩(俺)離れが進まなくて困る。



「‥俺はいつもこんな顔だ」


「ええ、元木さんはいつでも美人です」


部屋に凛と高い女性の声が響いた。


「ああ、宮原さん。お帰り」


「はい、今戻りました」


外回りから帰ってきた宮原さんは、完璧な笑顔で俺に微笑みかけ、その細い脚で伊坂の座ったイスを蹴り飛ばした。



ガンッッ


「どわっっ、ごめんなさいっ、退きます。離れますっ」


宮原さんは伊坂を退かすと、そのイスにストンと座る。

彼女は小さくて可愛くて美人だが、中身はヤクザのようだ。 頼もしくて好きだけどね。


伊坂は俺を挟んで宮原さんの反対側にイスを引き寄せて座った。


「元木先輩が美人なのはい つもですけど、なんか浮かない顔してるかなって」


伊坂はしつこくそんな事を聞いてくる。そんな酷い顔をしてただろうか。

だが、まさか遊びのつもりで一晩買った男の子が忘れられない、とは言えない。



「そんな事ないよ。ちょっと、今回の案件のこと考えてただけだ」


「元木先輩の今回のパートナーは亘理さんと宮原さんですか?」


「そう、色物三人組」


亘理さんはオネエの大男、宮原さんは美人だが性格は危険人物。それに、俺の三人組。

凸凹トリオだが、このメンバーで組んだ仕事は大抵上手くいく。


「いいなぁ。何で俺、仲間に入れて貰えないんですか?」


「伊坂はもう、一人立ちしなきゃダメだから」



「そうだけど‥」


「仕事しろ、伊坂」


「はい、すみませんっ」


宮原さんに睨まれて、慌てて自分の席に戻っていったが、顔はまだ不満げなままだ。


けど知らない。 今回の件に、伊坂の仕事はない。


それに俺は今、ハルのことで頭がいっぱいだった。


11
最初 前へ 891011121314 次へ 最後
ページへ 
TOP