毬音の檻
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発行者:梶浦絶
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/03/22
最終更新日:2012/03/27 19:02

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毬音の檻 第1章 暗闇から覗き見た、暗闇。
 矢内雅彦は自分の手の甲を見つめていた。そこにはさっきついたばかりの歯型がついている。女が噛み付いたのだった。食われる寸前の小動物のようだった。
 雅彦は歯形を見ながらにやにやと笑う。
 背の高いがっしりとした体は雅彦にゆるぎない自信を与えている。
 今年で四十になっていた。息子が二人。ほがらかで賢い長男、翔。おとなしく神経質な弟の充。
 妻は晴海といって今日は仕事に出ている。アパレルの仕事をしていた。
「今日は誰もいないと思ったのになあ。小さい動物が二匹、二階に隠れていたみたいだ」「……靴があったわ」
 女は座り込んだまま雅彦を見上げる。
 名前は陽菜と言っていた。よく行くカフェのアルバイトだが、三十を越えている。
 ただ五歳は若く見えた。気に入ったのが、胸も尻も小さかったが形が良さそうだったのと、唇がぽってりしていて目も大きく、なんとなくだらしないような性の匂いを発していたところだ。
 賢くなさそうだったからそこは気に入らなかったが、話しているうちに考えが変わった。食事に誘いたいけど俺じゃ駄目だよな、そう言うと陽菜は首を横に振り付いてきた。
「この前セックスしたのはいつ?」
 陽菜を見下ろしながら、雅彦は尋ねた。陽菜は答えを求めるような顔でこちらを見ている。どんなふうに答えれば正解か知りたいのだろう。
「あててやろうか、五年前だろ」
「そんなに、昔じゃないわ」
 陽菜は顔を赤くして答える。髪は乱れ、着ているシャツのボタンが一つ外れている。膝に擦れたようなあとがあるのは、さっき玄関で膝をついて暴れている陽菜を引きずったからだった。
「しばらく抱かれていないような顔をしている。だからついてきたんだろう、しらない家に」
「子供がいたなんて」
「いるだろう。この歳なんだ」
「どうしてここにつれてきたの」
「おもちゃが沢山あるからだ。妻に言えないんでね。お前で試したい」
「……帰る」
 陽菜は俯いて唇を噛み締めた。
 雅彦は声をあげて笑った。
 今なら逃げられるのに、帰るといいつつ身動きひとつしない。
 やっぱりそうだ。
 この女はマゾヒストの淫乱だ。
 妻は帰ってこない。他店に応援だからだ。新しい店舗ができたらしい。
 邪魔なのは子供だけだった。
 目の前にうまそうな肉があるのだから、そう思うと子供は邪魔だった。
 陽菜をどう料理するかのほうが、今は一大事だった。
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