毬音の檻
毬音の檻
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発行者:梶浦絶
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2012/03/22
最終更新日:2012/03/27 19:02

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毬音の檻 第1章 暗闇から覗き見た、暗闇。
「こっちを耳につけて、この銀色のでおなかをぽんぽんするの」
 毬音は充がよく分からないような顔をしていたので、嬉しくなり得意げに言う。
 翔と自分だけの遊びを教えてあげることが、些細な優越感に繋がるのだった。
 充は困惑したような顔で毬音を見ている。
「おなか見えてるよ」
 毬音が服を捲り上げて、聴診器を平らな胸に当てている。
「毬音ひとりでお医者さんゴッコしてるじゃん、変なの」
 つまらなさそうに充は言った。
 毬音は充が乗り気でないので面白くなく、聴診器を外してもう一度ベッドに仰向けになった。
「俺、一人で食べるからね……」
 充がペットボトルを開ける音が聞こえる。グラスにコーラを注ぐ音。子供部屋にはテレビがない。開いた窓から微かに電車の音が聞こえてくる。
 足の先が冷えるような気がした。
「ねえ、充、窓閉めよう」
 充は立ち上がり、窓に行く。そして窓から下を見下ろし、声をあげる。
「あれ??」
 毬音は充のほうを見る。
「どうしたの?」
「お父さんだ。今日は夜まで出かけるって言ってたのになあー」
「なあんだ、お兄ちゃんかと思った」
 がっかりしたが、お邪魔しているので挨拶をしなければ、と毬音は思った。
「……誰だろ??」
「誰か居るの?」
「知らない女の人」
「親戚の人とかお友達じゃないの?」
「さあ……」
 あ、家に入る……、途中までそう言っていた充が声をもぎ取られたように黙った。
 毬音はさすがに不安になり、小さな声で「充?」と声をかける。
 充は慌てた仕草で窓を閉めた。それについで車のドアが閉まる音と、玄関の鍵が開けられる音が聞こえる。
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