MaraSon Part2
MaraSon Part2
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part2 第11章 Epilogue-1
 僕は日曜、二人を帰したあと休みもせずビデオのチェックをした。千金の価値のある内容だった。簡単には売る気にならない。れいじくんには見せようと思う。「保険」でもあるから。売るなら、大樹君がもう大きくなって、僕の興味が失われてからだ。長くて三年で、そうなってしまう。僕らの悲しい性(さが)だ。
 月曜日の朝、大樹君を見かけなかったので、夜にメールを送った。短い、「仲良し父子」の動画をセットして。返事の文面から大樹君の上機嫌が伝わってきた。彼には背徳感や罪悪感なんてこれっぽっちもないみたいだ。目標に向かってまっすぐ進めるようになって、気持ちが安定して生き生きしている感じだった。僕は意地悪く、お尻の具合はどうだ、と訊いてみた。まだ痛いし、油断するとうんちか何か漏れそうだ、学校にはがんばって行ったけど、ジョギングと体育は休んだ、どのくらいで治りますか、とか露骨な返事が返ってきて、僕は一人で照れてしまう。

 思わぬ展開があったのは、水曜日だ。小雪が舞い、冷え込みが厳しかった。夜中、僕はもう入眠していたはずだけれど、時ならぬチャイムの音に飛び起きた。ドアーチャイムだとわかるのに、少し時間がかかった。目覚まし時計を見ると、一時前だった。
 続いて、どんどんどんどんと、ドアを叩く音がする。こんな時間に誰だ? 何事だ。……もしかして警察か? やはり僕は大樹君ら父子に裏切られたのか? いや、僕には心当たりが多すぎる。全く別の理由で、いつ警察に踏み込まれてもおかしくはない。
 僕は寝間着のまま、玄関に歩いて、片目でドアスコープを覗いた。
 大樹君だ! 暗い視界だが、水色のストライプの寝間着姿だ。この小雪の舞う厳寒の深夜に、尋常ではない。僕はドアを開けた。
 大樹君が倒れ込むように中に入ってきたので、僕はすぐにドアを閉めた。ロックもかける。大樹君は僕にしがみつき、腹のあたりに顔をぴったりつけた。
「何事だ? こんな格好で夜中に。風邪ひくぞ。健康第一って言ったじゃないか……」
 大樹君は僕のからだに顔を当てたまま、しくしく泣きはじめた。僕の中の何かが疼いたが、自分でもそれが何なのか説明できない。大樹君は素足に汚れた運動靴だ。
「話してくれなきゃ、わからない。とにかく中に入るぜ」
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