MaraSon Part2
第10章 7
「いいね。じゃ、ご主人様として、もう少し君に注文しよう。まずは受験に成功すること。それも君のブランド力を高めるし、日々が充実していることで、健康で明るい子でいられるだろうからね。受かったら、運動部に入ろう。僕はぽっちゃりも嫌いじゃないが、せっかく摂生されたきれいなからだをしてるんだ。大事にしよう。幅広い客に対し、その方が商品価値が高い。ただね、筋トレのしすぎは要注意。君はお父さんみたいな感じにあこがれているかも知れないが、僕はあまりムキムキなのは好きじゃない。まあ君の体質ならなりそうにないけどね。陸上の長距離とかいいかな」
大樹君はうなずく。
「そうそう。来週だけどね。君まだ私立小学校の時の制服、持ってる?」
「……捨ててはいない、ですけど……」
「今も着られるかな」
「わかんない、です」
大樹君はうつむき、唇を噛んでいる。これはちょっとかわいそうだったな。嫌なこと思い出すよな。惜しいけどな。
「じゃ、それはいいよ。あのね、じゃ、お父さんに写真撮ってもらった時の下着は?」
大樹君はちょっとうつむいたまま、父親の方を向いた。
「残ってます……」と父親は答えた。
「なるほど。じゃそれを、来週持ってきてくれる? 一通り」
「わかりました……」
うつむいたまま、ちょっと抵抗ありそうに、大樹君は答えた。
「では来週。ですね。二人ともオナニー禁止。あ、まして、二人で勝手にエッチなことも、しちゃダメですよ」
僕は冗談めかして言ったのだが、二人は揃って、強く繰り返し首を左右に振った。意外とこの父子は、似ているのかもしれない。
76
NIGHT
LOUNGE5060