MaraSon Part2
第2章 2
「君の望むようにしてやろう。お金は出す。しかし君は、週に一度は僕に会い、僕の奴隷として僕の思いのままにされる。時にはビデオや写真を撮られる。僕はそれを売る。利益は全額、僕のものだ。小遣いじゃ、学費には足りない」
大樹君は不安げに僕を見る。本当は十分に足りるんだけどね。僕は金を稼ぎたいわけじゃないし、ビデオを売りまくるのは危険だ。
「でも君には他にも売り方がある。僕と同じような趣味の人に、君を貸し出すのさ。二時間とか、一晩とか。その利益も僕のものだが、そこからも君の小遣いを出そう」
大樹君はうなずいている。売春行為だ。彼はその意味を、深く理解してはいないが、僕がした行為は、身にしみているはずだ。それでも受け入れるというわけだ。
「それから君は理解しているかどうかわからないが、僕自身が君に興味があるのは、たぶんあと二年くらい。長くて三年だ。だからある意味、君は僕の奴隷を、その時点で卒業できるわけだが、一方で僕は、君の主人でなくなる。小遣いをやる立場でもなくなるわけだ」
大樹君の顔に、また不安が拡がった。楽しい。
「でも心配しなくていい。好みは様々で、僕の知り合いにはもっと上の歳までオーケーの人もいる。僕はそういう人に君を紹介したりして、ピンハネして君に利益を回してあげることができる。十八になるとね、大人扱いで、お互い合意なら、セックスするのは違法じゃない。そうなると自分から売る子も増えてね。実際君みたいな幼い子より、十八の若い子を好む人の方が多いんだけど、売る方がぐっと増えて、値段は下がる。君みたいにかわいくてもね。けど、違法のうち、子どものうちの方が、皮肉にも稼げる。僕みたいにルートを持ってればね。十七まで、君は稼げる。まあ今公立高校は無償化されたけど、私立の中高一貫校に通うことも、不可能ではないさ」
大樹君の表情には、安堵が拡がり、かすかに笑みさえ窺えた。それは哀しい笑みだった。僕から見ればね。
そんな彼の表情と、うなだれた父親を見比べていたら、僕の頭に一つの悪魔的なアイデアが浮かんだ。それを抑え込む理由はなかった。
24
NIGHT
LOUNGE5060