MaraSon Part2
MaraSon Part2
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part2 第2章 2
「バカでしたね」
 僕は冷たく言い放った。父親はがっくりとうなだれたが、急に大樹君が怒ったような声を上げた。
「そんなことないよ! 今でもお父さんは二つも仕事して、倒れそうなくらい毎日がんばってる。僕はいいって言ったんだ。写真くらい。でもお父さんがダメだって言うから、あきらめたんだ」
 大樹君はあらためて僕を見つめる。睨むように。
「今度は僕が自分で決めました。先生、ダメですか。僕じゃ三百万、とても無理ですか?」
 僕は首を振った。
「大樹君。目的を見失っていないかい? いい中学校に入り、いい高校に、大学に入って、いい会社にでも入って、高い収入を得る。それが君の重ねてきた努力の最終目標なのか。そのために何を失うか、きちんと考えたのかい? お父さんの期待した君の将来は、どんなものだったんだ?」
 もはやこのまとも過ぎる説教めいた言葉は、僕には儀式に過ぎず、本気じゃなかった。大樹君がどう答えるか、ほとんど僕は確信していたから。
「僕はちゃんと考えました。大事なことだから。先生、僕は先生の奴隷でしょう? 僕にはもう、失うものなんてないんです。せめて自分の努力が、続けられる場所に行きたい。それがなくなるくらいなら僕、本当に先生にどうされてもいいです。好きなようにめちゃくちゃにして、殺して下さい。僕は先生のものなんだから」
 大樹君の言葉には正直そそられる部分もあったが、僕はさすがに手を振って、彼の話を遮った。
「めったなことを言うもんじゃないよ。それに君を殺しても僕には何の得もないし、そんな欲求もないね。でも覚悟のほどは聞いた。その気になったらめちゃくちゃにしてやるよ」
 僕はそう言い放ち、続けた。
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