MaraSon Part2
MaraSon Part2
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part2 第2章 2
「僕、五年生の始めに公立に転校しました。最初は、私立から落ちこぼれたって、どこからバレたのかわからないんですけど、いじめられました」
 ありそうな話だ。
「でも、それより何より、だんだん教室が騒がしくなって、授業中に勝手にうろうろする子とか、泣き出す子とか、ケンカする子が出てきたりして、一学期の終わりには、授業が全然成り立たなくなっていました」
 これも近頃流行りの、学級崩壊ってやつか。
「僕、二学期からほとんど学校に行かなくなりました。その頃友達はできてたけど、学校で、騒がしい教室にいるとダメになっちゃいそうで、それで、僕……」
 僕は大樹君に同情した。彼はいらないって言うんだろうけど。
「自分一人で、勉強しました。二学期の終わり頃には、担任の先生がいなくなって、代わりに教頭先生が、授業してくれて、だんだん落ち着いてきました。でもただ大人しくしてるっていうだけで、集まってる意味がないようなクラスでした。六年に上がって、クラス替えがあって、少しまともになりました。友達も増えました。でも……」
 大樹君はうつむき、唇を噛み、また頭を上げて、僕を見た。
「ちゃんと勉強する子は、みんな塾に行ってます。今年の先生はいい先生だけど、学校はみんな勉強が遅れてて、それに合わせて、授業やって、六年の教科書、終わりそうにないんです」
 全くひどい話だ。日本の子どもには本来、学習権ってやつがある。個々の能力に応じた、教育を受けられる権利だ。やたら権利にうるさい世の中だ。子どもの権利にもうるさい。でも実態はこれだ。彼に比べれば、僕はまだ、恵まれた時代の申し子だった。
「塾に行ってる子はみんな言ってます。中学校はもっとひどいって。財布持って学校に行けない。大ケガして入院したり、いじめられておかしくなって家から出られなくなった子もいるって。だからみんな、必死で、私立に行く勉強してます。お金とか勉強とかで、私立無理な子は、刑務所にでも行くような気持ちです」
 晴れの新入学が、刑務所か。
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