MaraSon Part1
MaraSon Part1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part1 第1章 1
 僕は助手席に少年を押し込み、運転席に乗り込む。僕の車はワゴンタイプで、後ろの席を倒せば、少年を寝かして乗せることもできる。でもまだ彼の酩酊状態はしばらく続くはずだった。助手席の方が自然だしスピーディだ。
「住所は?」
「……あっ……ち、の……」
 たとえ正確に答えられても、僕は彼を自宅に帰す気なんかなかったけれど、この方が自然だろうと思って訊いてみた。彼は重いまぶたを必死に持ち上げて、落ちていきそうな意識を支えているようだった。幼児のように家の方向を指さすことしかできなかった。
「困ったね。……僕の家はすぐ近くだから、少し休んでいくといいよ。歩けるようになったら、帰ろう。よくならないようなら、病院だね」
 もう僕の言葉の意味を、きちんと理解できないようだった。彼はあいまいに返事をして、あとはぐんにゃりと席に身を預けて、視線を無意味に宙に漂わせていた。

 僕の部屋はマンションの三階だ。特に流行りのセキュリティシステムも、監視カメラもない。今の収入でそういうマンションに入ることは不可能ではないけれど、僕には邪魔なだけだ。ある程度の部屋の広さと、走るに適した周囲の環境、職場への適度な近さ、ブロードバンドインターネット。それだけで僕には十分だった。
 僕は車を駐車して、助手席から少年を抱え出して、再びおんぶし、エレベーターに乗った。誰にも見られてない。日曜日の早朝だ。ゴミ出しの人もいないし、あるとすればジョギングの人と鉢合わせぐらいだが、落ち着いてさえいれば、特に怪しまれる姿ではないはずだった。三階にも人影はない。僕はすんなりと彼を部屋に運び込み、ベッドに寝かせた。
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