MaraSon Part1
MaraSon Part1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part1 第1章 1
 数分とかからずに、少年の顔が全体朱に染まり、目つきがぼんやりとしてきた。僕は注射器をしまい、周囲を確認する。まだ近くには誰もいない。僕は運がいいのか、悪いのか。確実なのはこの少年の運は悪いということだ。新年早々の災難だ。
「具合が悪いみたいだね……」
 僕は少年にまたがり、頬に手を添え声をかけた。
「あ……ふ……」
 ろれつが回らないだろう。僕が注射したのはエチルアルコールだ。つまり彼は、急速に酩酊状態になったわけだ。量と濃度は、僕自身を実験台にして研究した。僕に十分な効果を及ぼす約半量を、彼に静注した。
「うちまで連れていってあげるよ。どこだい?」
「あ……い……ぃれ……す」
 いいです、と断りたいのだろう。でも口は半開きで、視線は覚束ず、まぶたは重そうだった。
「しょうがないな……」
 と言いながら、僕は少年の小さなからだを抱き上げ、背中に負って、手を僕の首に回させた。少年のからだはぐにゃぐにゃで、なすがままだった。とても軽い。小さなからだだった。僕は一直線に路肩に停めた車に向かった。その頃になってようやく、遠くに走る人影が見えた。今ならもう、僕は具合の悪くなった子を背負う親にしか見えないだろう。

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