MaraSon Part1
第1章 1
残念ながら、勤務医を始めてからは少年との性交渉の機会はめっきり減った。過去につきあって、大きくなった子と遊びに行ったりはするが、それはそれで悪くないとしても、別の話だ。僕には中三以上の子は、ほとんどの場合性欲の対象にならなかった。中学生以上の子と、お金を介してセックスをしたり、裸を撮影する機会は時々ある。ネットを使ったり、まあ色んな場所で、ナンパめいたこともした。もちろんそれなりに楽しめたけれど、医大生の頃みたいに、少年を未知の領域に少しずつ引き込んでいくような熱情的な喜びは久しくなかった。もうないかも知れない、とも思っていた。
河沿いの道で毎朝のようにすれ違う少年は、そんな僕をささやかに魅了し続けた。でも彼は最初に出会った頃、僕の対象としてはいささか幼すぎた。もちろん、あれだけかわいければ、言葉は悪いが食えないことはない。でも彼はいつも父親と一緒だったし、現実問題として声をかけることすら無理だった。いつも反対方向から同じコースを走る彼らに、何度目の邂逅からか僕は片手を挙げ柔和な微笑みを送り、髭面の父親が手を挙げて会釈してくれ、少年が恥ずかしそうにちょっとだけ頭を下げる。そうして数秒ですれ違う。それだけのことだった。
5
NIGHT
LOUNGE5060