MaraSon Part1
MaraSon Part1
成人向完結
発行者:とりさん
価格:章別決済
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ジャンル:その他
シリーズ:MaraSon

公開開始日:2012/03/20
最終更新日:---

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MaraSon Part1 第2章 2-1
「名前訊いていいかな?」
「建山……大樹(ひろき)です」
 知らない人に名前を教えちゃいけない。最近の学校ではたぶんそう教えている。登下校時、名札もつけさせない。でも少年はフルネームで答えてくれた。医者という肩書きと、僕の温厚そうな表情が、役立っているわけだ。少年の言葉はだいぶはっきりしてきた。顔の紅潮も治まりつつある。
「ヒロキ君か……字はどう書くの?」
「……大きいに、樹木のじゅ、です」
 少年は空中に指を走らせ、スムーズに答える。五年生くらいだとすると、樹木のじゅ、なんてなかなか賢い答えだ。
「歳はいくつ?」
 リラックスさせるための、他愛ない質問だと、彼は信じ込んでいるだろうな。
「十一歳です」
「……五年生?」
「六年生です」
 おや、早生まれか。年齢の見込みは当たっていたが、学年は思っていたより一つ上だった。ずいぶん小柄な六年生だ。話し方はかなりしゃきっとしてきた。礼儀正しい子のようだ。それにいい声だ。体格相応の、男の子としては高い声で、少し掠れた、そそる声だ。
「大樹君、僕に見覚えないかな……」
 僕は大樹君の顔に、覆い被さるように近づいた。少年は「え……」と戸惑ったあと、急に口を押さえて、
「き も ち わ る い……」
 とうめいた。僕は一瞬ずいぶん気を悪くしたが、もちろん意味を取り違えていた。
「吐きそうなのか?」
 僕が訊くと。少年は顔をしかめ、口を押さえてうなずく。
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