人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第2章 プラチナ

「やはり美しいな。始めて見たときから、この人形だと思ったよ。
  この、世にも珍しい菫色の瞳。
  様ざまな人形を見て来たけれど、こんな不思議な色をした瞳はこの子だけだ」


 青年の歳はせいぜい25,6歳だろう。だが、その口調には自信があふれていて、ともすれば傲慢にも聞こえた。


 「店主、この人形、ガラスケースから出せないのか?」

 「買い主が決まるまでは人形はケースから出しません。無暗に外に出しますと劣化の心配もありますから。ですが、人形にはこちらの声は聞こえていますよ」


マスターは青年を宥めるように穏やかに笑ってみせるが、青年はあからさまに眉を顰める。


 「では店主はこの人形を私に売るのをまだ迷っているわけか。
支払は現金一括でしよう。何が不満なんだ」


 「不満なんてありませんよ。ただ、同時に別の方から、この人形を買い取りたいと連絡がありましてね。私としても困っているのです。だから、この際人形自身に選ばせようと思いまして」


 「別の方?
 この私とその誰かを、人形に比べさせるというのか?」


 「そうです。何物にも相性はありましょう。どうぞ、ゆっくり彼女とおしゃべりでも」










マスターはそれだけ言うと、小さな子供の姿をした人形を腕に抱えて、青年とガラスケースに入った私を残して店の奥へと入っていった。

 
 「ふん…、噂通りの変わり者か。
君もこんなガラスケースの中から早く出たいだろう?
俺のところに来たら、美しいドレスを買って、一緒に街を歩こう。君のその珍しい髪と瞳はどこの社交界でも絶対にみんなの目をひくだろう」


 青年は、華やかな上流階級の社交界を語る。
そこには高額な値段で売り買いされた美しい人形を連れて歩くのが、最近のはやりなのだという。
 




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