人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第5章 琥珀
「吃驚したわ。貴方が人に話しかけるなんて」

ガラスケースの中にいる人形の声は人に聞こえない。
私が聞いているのは思考の声だ。喉が震えて作り出す音ではない。
ガラスケースの中では人形の破損や摩耗を防ぐために人形は動けに様になっている。
ウサギがしたように目と閉じるのがせいぜいだ。

「あの人がいいと思ったの」

琥珀は見えない涙を零す。
流れるはずのない思考の涙だ。

「あの人が気に入ったのね」

「でも、駄目だった。あの人は行ってしまった。もう会えない」

「もともと冷やかしだったのよ。貴方が気に入らなかった訳じゃないわ」

「あの人が良かったの」

「そう…」

人形には意思がある。
時として人形が人を選ぶこともある。


ガラスケースの中の人形はどれも一途で純粋だ。
大体は買ってくれる人が決まった嬉しさで自分のマスターを深く愛し懐いていく。
けれど、その前に気に入った客が出来てしまうと、いざ買い手が決まった時に馴染めなくなってしまうケースが稀にあった。


「困ったわね」
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