人形の見る夢
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成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第4章 うさぎ
すっかり日が暮れたころ、アルビノが密かに待ちわびていた男性客が店を訪れた。


「いらっしゃいませ、
また来ていただけたんですね」


マスターは私を抱きかかえたまま、微笑みながら男性客に会釈した。


「彼は今日は目を開いているんだな」


どうやら男性客のお目当てはアルビノだけのようで、他の人形には一瞥もくれず、彼のガラスケースの前に立った。

真っ赤な目を開いたアルビノを嬉しそうに覗いていた。



「この人形の目が怖いと言った子が謝ったようです。ね?」


マスターは抱っこしていた私に、笑いかける。


「……この前、貴方が可愛いと言ってくれたから、この子の気持ちは落ち着いたみたい」


アルビノは素直だ。
前にこの男性が訪ねてきた次の日から、ちゃんと目を開けるようになった。お陰で、昼間の女性のような変な客に気に入られることも多くなってしまったけど。


男性は満更でもないのか、照れたように笑ってアルビノを見つめた。


「…可愛い子だな。
確かに凄く印象的な目をしてる」


「この子自身は、殆ど視力がないんですけどね」


マスターの言葉に、男性は驚くでもなく頷いた。


「色素欠損の弊害か。
紫外線もダメなんだろう。この子はガラスケースから出たら、どう生活したらいいんだろうか」


「現実的には、ガラスケースから出て生活するのは難しいでしょうね。
なるべく長い間ガラスケースで育てて大人しい性格にし、カーテンを閉めた室内のみ生活させるのが精々だと思います」



「日中の外には出られない、か?」


「人形はそれ程長い時を過ごしません。大切にしてやれば、5~6年は持ちますが、この人形の場合は紫外線に晒されたり、見えない目で怪我を繰り返せば、長くない寿命を縮めることになります」



「そうか。
無理なことはさせないほうが、この子の為か。だが、長い間ガラスケースで育てるというのはな。
感情の発達を抑制すると言うことだろう?」


「簡単に言ってしまうと、そうですね。ペットショップなどで、ゲージで育てた猫は外に出たがりません。
しかし、外を知って育った猫は、室内に閉じ込めればストレスになる」


「長くケースに入れておくのも、この子の為と言うわけか」
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