人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
人形の見る夢 第4章 うさぎ
「まるで吸血鬼ね、素敵だわ」


穏やかな平日の午後だった。
女性はアルビノのガラスケースの前でうっとりとため息をついた。

歳の程はハッキリしないけど、若くて30、上では40代、或いはもっと上かもしれない。

彼女はまるでクリスマスツリーのように色とりどりの貴金属を身につけていた。


「ねえ、凄く情熱的な瞳よねぇ、
吸血鬼のようだと思わない?」


「吸血鬼、ですか」


女性客に興奮気味に話しかけられたマスターは、アルビノの幼い顔を見て首を傾げた。




「そう、まるで古の魔物のよう。
今はまだ幼いけど、行く行くはそれはそれはセクシーな男に育つわ」


セクシー…
アルビノがセクシー。
自分のことを僕と呼び、語尾はだもん、とか言うアルビノがセクシー。

私にはアルビノは吸血鬼というより、うさぎに見える。臆病で可愛らしい、草食動物、品種改良で生み出された外見…。



「ご主人、この子どうして値札が無いのかしら。直ぐにでも連れて帰りたいわ」


「申し訳ございません。
この人形はまだ幼いので、売り物ではないのですよ。もう3ヶ月程は、このままケースで育てることになります。

それに、言いにくいのですが、
彼は色素がないため紫外線に酷く弱いし、視力は殆どありません」


「ますます吸血鬼ね、気に入ったわ。
いいわ、3ヶ月ぐらい待とうじゃありませんか」


女性は上機嫌にマスターにそう言って帰っていった。



「ねえ、マスター。
アルビノは吸血鬼みたい?」



「俺は天使みたいだと思ったけど。
言われてみれば赤い瞳は物語に出てくる吸血鬼みたいだね」


「‥あの子は、そんな怖くてカッコイいものじゃないわ。可愛いウサギよ」


「君は何だかんだ言って、
どの人形にも感情移入してしまうね…」



困ったなと言うように、マスターは苦笑した。
24
最初 前へ 21222324252627 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ