人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第1章 ビスクドール(はちみつ)
「綺麗な子だね」
「ええ、そうでしょう。今うちで一番美しい人形ですよ」
「ああ…、だけど少しきつい表情をしていないかい?」
「目鼻立ちが整っているのですよ、」
「ふむ、確かに」


上等なスーツを着た壮年の男性だった。あの可愛くて美しい青い目の人形のガラスケースの前で、マスターと話し合う。見た目は文句のつけようのない紳士然とした男性だ。子供の玩具にはなりたくないと言った彼女には丁度いい買い手かもしれない。でも、私は可愛いあの子が結構好きだったから、買われていってしまうのはちょっと、寂しい。

「しかし、亭主。高すぎないか。この際少し負けないかね?」
「裕福な方は多めに払うぐらいが丁度いい。紳士は値切ってはいけませんよ」
「よかろう、買うよ」
「ありがとうございます」


 商談はスムーズに成立した。
私にはマスターが言うほど上流の方には見えなかった。けれど、彼はあの子を買うという。

「この人形は連れて帰れるのかね?」
「帰れますけど、これだけ高価な人形です。こちらから搬送しますよ。綺麗にドレスアップしてね」
「では、お願いしよう」
「かしこまりました…」

マスターは恭しく礼をした。こうして彼女の買い手は決まった。


「ねえ、マスター。なんであの男に彼女を売ることにしたの?」
「うん?だって彼女は買われたがっていたし。俺も人形が売れないと商売にならないよ。
君が人形たちに感情移入しすぎて人間のように思っているのは知っているけどね」

マスターは私を見て苦笑する。
買われていく日、あの子は真っ白なドレスを着せられていた。まるで花嫁のようだった。


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