人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第4章 うさぎ
「なんで、そんな人形を作ったの?
わざわざ、欠陥品を作ったということでしょう?」



人形は人によって意図的に作られる。
髪の色も、肌や瞳の色も予め定めて作ることが出来る。
だから人形は人間には有り得ないような鮮やかな色彩を持っているし、大抵はとても美しい。

なのに何故、わざわざ視力もない、日光に耐性もないような人形を人が作ったのか解らない。




「昔からアルビノは吉凶の兆しとされ、神聖視されることも多かった。この人形を見てると、それも解らなくはない。
一部のマニア受けを狙って作られたんだろうね」



「悪趣味だわ」


マスターは人形が入ったガラスケースのセッティングを終わらせると、私を抱きかかえて、お茶にしようと言って店の奥の住居スペースに移動した。



「まあ、確かにそうかもしれないね。
人形はもとから人に比べたらとても繊細だ。言い換えれば、脆いとも言える」


そう、人形の命は極端に短く、体は脆い。

マスターがいれてくれたお茶は、甘い芳香を上げて、優しく辺りを包んだ。温度は絶対に火傷しないように温いぐらいに調整されている。






「前に、街でショコラ達に会ったけど、本来人形はそのくらい大事にされて丁度いいんだ」


「ショコラ?」


聞き馴れない名前だけど、物凄く“あの子”を連想する響きだ。


「チョコレートのことだよ。
君とあの紳士はネーミングセンスが似てるのかな」


茶色い目と髪をした人形。
まだ全く子どものうちに見初められて、ガラスケースから出られるぐらい成長するのを待って買われていった、男の子だけど私のお気に入りの子だ。


「チョコに会ったの?
酷いわ、すぐ教えてくれたらいいのに」



「ああ、あの若い紳士と手を繋いでデパートの中を歩いていたよ」



何でも、あの綺麗な紳士の話によると、ショコラは外出が好きで、彼が休日の度に外に遊びに行こうと強請るそうだ。

本当は抱っこして連れて行ってやりたいが、ショコラはやんちゃで自分で歩くと言って聞かないし、屋敷の者達は甘やかし過ぎだと呆れていると苦笑していたらしい。




「人形のことを詳しくない人には、過保護に見えるのかもしれないわね。
私も、あまり自分では歩かないもの」
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