人形の見る夢
人形の見る夢
成人向
発行者:ほおずき
価格:章別決済
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/03/05
最終更新日:2015/07/17 11:20

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人形の見る夢 第3章 チョコレート
ショコラを連れてきて一年目、
元気が良すぎて手に負えないくらいだった。


二年目、花も恥じらうほどに美しくなったショコラに溺れるように恋した。


三年目、ずいぶん振る舞いも落ち着いてきた。誰にも見せたくなくて、だけど誰にでも自慢したくなるほど可愛かった。

四年目、ショコラが傍にいて過ごす日々が当たり前になっていた。彼は俺の伴侶だった。


五年目、ショコラは少しずつ元気がなくなっていった。けれど、苦痛も不安も、一言だって口にしなかった。



あの店の店主に相談もした。
しかし、その時点でショコラは作られてから六年以上が経過していた。時間なのですと、告げられた。


唯一、限られた時間を引き延ばす方法として提案されたのは、ショコラをガラスケースに戻すことだった。

けれど、ショコラは拒否した。


“最後の時は、マスターの腕の中がいい”



ショコラは生涯、大人にならなかった。 人間の外見で言えば、二十歳を迎える前だった‥。


俺はもう二度と、人形を買うことはない。
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